今回はダイワの21スティーズA TW HLCを購入したので、インプレを書いていきます。
2021年、ついにスティーズボディにHLCスプールが搭載されました。スティーズA TWがベースになっています。
動画も出しているので、こちらも参考になると思います。
是非ご覧ください。
21スティーズA TW HLCの特徴
HLCスプール
まずはなんといってもこれでしょう。
このリール最大の特徴です。
36mmのHLCスプール(マグZブースト)です。
HLCスプールとは・・?
搭載されるブレーキはマグネット
考え方はダイワの他モデルと同じです。
キャスティングでスプールが回転し、それによってインダクトローターと呼ばれる可動する紫や黄色のパーツがサイドプレート(巻くときに握る方)側に飛び出します。
サイドプレート側にはマグネットが装着されており、インダクトローターが飛び出してきた際、磁力の影響を受けてブレーキがかかる仕組み。
キャスト直後のスプール高回転時はインダクトローターが一気にマグネットに入ってバックラッシュしないようにブレーキをかけるわけです。
インダクトローター部のバネ
インダクトローター部にはローターとマグネットを引き離すためのバネがついており、キャスト中〜後半、スプール回転数が落ちてくると徐々にバネが伸びてローターをマグネットから離します。(写真は伸びきった状態)
これによってブレーキ力が弱まることで、飛距離が伸びるというわけです。
※例外としてバネが搭載されてなく、常に一定のブレーキがかかるインダクトローター固定式のリールもあります。最近のリールだとタトゥーラ300、400はこれ。
HLCスプールのバネ
HLCスプールはこのバネがかなり硬く設定されてます。
キャスト直後は伸縮してローターをマグネットに入れますが、硬いバネがすぐにローターをマグネットから出します。
これによってキャスト直後以降は、かなりブレーキが弱くなって遠投が可能になるというわけです。
理屈はこうですが、すんなり遠投できるわけではなく「ブレーキが弱い=バックラッシュ」となります。
このバックラッシュをサミングで抑えながら飛距離を伸ばしていくのがHLCシリーズの醍醐味です。
非常にバネが硬いので軽いキャストではローターが動かず、ブレーキがほぼかからなくなります。つまり近距離キャストはブレーキがほとんど仕事をしません。
サミングのタイミングについて
キャスト直後にインダクトローターが飛び出してブレーキがかかり、硬いバネですぐに戻ります。
ぶっ飛び系のルアーであれば、キャストの中盤ぐらいまで飛んでいく速度(以下、ルアー速度)が落ちにくいので、スプールがルアーに引っ張られる、もしくは同調して回転するのでサミングを必要としません。
ぶっ飛び系のルアーでない場合、キャスト直後のインダクトローターブレーキだけではスプール回転がルアーと同調せずに空転してしまいバックラッシュします。なのでここでサミングの必要が出てきます。
キャスト後半では着水に向けてルアー速度は落ちます。
この時にスプール回転がルアー速度とマッチせずにラインが浮いてきます。ここでのサミングも必要です。
ブレーキダイヤルを強めても後半にラインが浮くのは、そもそもインダクトローターが後半ではあまり機能していないからだと考えられます。
※これは16lbラインを100m巻いた状態でキャストした際、よくみられたスプールの動きです。当然、ブレーキダイヤルの強弱、巻いてあるラインが少なかったり、強い風が吹いていたりすると変わってきますので要注意です。
マグZブースト
今回のHLCは従来のHLCと違い、ブレーキ精度を向上させるためにインダクトローターが2段階可変するようになっています。
ジリオンSVやスティーズリミテッドなどのSVリールにも採用されています。
正直、ブーストの恩恵はSVリールほど大きくないと思います。
上記のブレーキの動きが頭に入っていれば問題ないです。
ハイパードライブデザイン
2021年から採用され始めた設計思想です。
ただ、ダイワのページを見ても「?」今までもそうだったんじゃないの?って感じなんですよね(笑)
これを具体的に体感できる部分は「巻き」だと思います。
ハイパードライブデザイン非採用のモデルより良好です。
ノブ
スティーズAがベースボディですが、ハンドルノブはスティーズリミテッドと同じノブが採用されます。
がっちりグリップしてグリグリ巻くには小さいですが、個人的には感度よく使えるので気に入っています。
ワーミングにはピッタリ。
21スティーズA TW HLCを実際に使用して点数評価
【見た目、デザイン】5点
スティーズAベースで同じ色かと思いきや深いネイビーです。
なかなか渋い色でイイ!
そもそもスティーズAベースなので、ダサいはずがないという。
【巻き心地】4.5点
ハイパードライブデザインの恩恵か、凄く良いです。
スティーズAは普通なので、なかなかの進化です。
【剛性感】3.5点
しっかりしてます。ここは前のAと同じ。
ただし、ロッドのグリップに装着した状態だと締め付けによってボディがたわみます。
サイドプレートが開かなくなります。釣りに支障はないですが、気持ち的によくはないので少し点数下げました。
【軽快感】4点
もともとがコンパクトで軽快なスティーズAベースなのと、スプールは重いけど強いブレーキではないのでもたついたりする印象がない。
【価格とのバランス、コスパ】4.5点
コスパは「安い」ということではなく、性能と価格のバランスでみています。
それを踏まえて決して悪いとは思いません。
飛ばすことに特化したブレーキと信頼のスティーズAボディで価格は4万円台です。
クセがあるだけで間違いなくお得なリール。
他リールとの比較
アンタレスDC
遠投を目的としたスティーズHLCの強豪になるのがシマノのアンタレスDCです。
ブレーキの観点から違いを解説します。
まず、簡単に遠投ができるという点においては、DCの方が優れています。
様々な状況下でもトラブルなく、HLC並の飛距離が実現できます。
マグネットブレーキでは、キャスト後にインダクトローターがマグネットへ入り、あとは強いバネで即ブレーキを抜くか、柔らかいバネでゆっくりブレーキを抜くかでコントロールします。(当然、インダクトローター自体やマグネットの作りは各リールによって異なります)
つまりキャスト後のマグネットブレーキの動きは決まっていて
インダクトローターがマグネットに入る→抜ける
こうなります。
DCブレーキの動きをマグネットブレーキと同じ表現で書くとこうなります。
インダクトローターが入る→抜ける→入る→抜ける・・・・・・
このようにルアーが飛んでる間、スプールの回転をコンピュータが読み取って自動的にブレーキを掛けたり抜いたりしてくれるという仕組みです。(もちろん、スプール内にはDCブレーキのユニットが入っているだけで、インダクトローター等はありません。)
なのでHLCのように後半のライン浮きがない、もちろんブレーキが強すぎることもない。
アングラーはルアーや風の状況でおおよそのブレーキダイヤルを設定しておけば、あとはDCブレーキが勝手に最適なブレーキを掛けます。
HLCが苦手な近距離も難なくこなせます。
逆にリールを使いこなす楽しみの点においてはHLCの方が優れています。
風やルアーを計算に入れて、最適なサミングでスプールの回転を自分でコントロールできます。
車のAT、MTに似てますかね。MTの方が使ってて楽しいと感じる人が多いのも事実です。
飛距離
最大飛距離は体感、ほぼ差がないです。
平均飛距離は人的な要因(サミングミス等)が入りにくいDCが上だと思いますが。
楽に遠投したいのか、自分で設定を煮詰めながら遠投したいのか、で決めるのがベストです。
ジリオンHLC1514
同じHLCスプールを搭載したモデルですが、スティーズの方が少しマイルドな印象を受けます。
正直、ジリオンHLCを使い込んでいない僕としては、キャスト性能よりボディの違いで選んだ方が大きく感じました。
ジリオンHLC1514、ジリオンHLC1516とのスプール互換性
ありません。
スティーズHLCのスプールがナロースプール(幅22mm)な為です。
ナローというより、普通サイズです。スプール系34mmのSVリール等と同じです。
ジリオンHLCのスプールは幅25mmなので、径は36mm同じでも幅が合わないというわけです。
バックラッシュが多発する場合
人によっては後半のサミングが難しく感じる場合があるかもしれません。
逆風だと特にそうです。
その場合、少し飛距離を削ることにはなりますがメカニカルブレーキを締めることをお勧めします。
詳しくはこちらの動画をどうぞ
21スティーズA TW HLCの総合評価
HLCの飛びを体感するならサミングが必要なので、使う人を選びます。
ただし、ブレーキのクセを掴んで使いこなせれば最高の飛びと満足感を得られるはずです。
ボディも2017年から愛用者が多いスティーズAなので、安心して使い込めますね。